羊をかぶった絵画教室展2022☆感想後記
そこでディレクター2人から、今回の展示を振り返っての感想後記です。少しお付き合いしていただけましたら幸いです。
まずは肥沼先生です。
ヒカリエグループ展示が終幕し、2週間が経った。
一度、落ち着いた視点で今回のヒカリエグループ展示を振り返ってみようと思う。
まず、今回のテーマ「幸福論」。コロナ禍3年目、今年に入り、ロシアとウクライナの戦争が始まったり、安倍元首相が暗殺されたりと混沌としたと今という時代を見据えながらも、改めて自身が考える「幸福とは?」を考え制作してもらうというものになりました。
作品を展示するだけでなく、制作の「きっかけ」としての手紙も一緒にプレゼンテーションしてもらったのは特殊な展示といえよう。
目黒校と池袋校の生徒さんが一緒に展示する機会でもあり、個人的には両校での表現の違いが垣間見えた所も面白かったと思う。
目黒校には10年以上ルカノーズに通う生徒さんもいたりと、すでに自身が表現したいスタイルをお持ちで、合成樹脂やコラージュを併用したりとマテリアルを上手く使用している作品もありました。
対して池袋校は新規オープンして約1年半。まだルカノーズに通って数ヶ月という生徒さんも積極的に展示に参加し、フレッシュでカラフル、エネルギッシュな作品が目を惹きました。
特に自分が気になった作品として、池袋校のあだちあやねさんの作品『Colors and Notes, National Anthem of Ukraine Score 』である。
一見すると抽象画のイメージだが、制作の「きっかけ」としての手紙を読むと、この作品をより深く理解することができた。
ウクライナ国旗の青と黄色をバックに、キャンバスに印刷された色の音符を貼り付けている。この色の音符はウクライナ国歌の音符をコンピュータ上で色彩に置き換えて印刷されたものにあたる。
とてもコンセプチュアルな作品であり、あだちさんは前々からこの作品のアイデアがあり、いつか実現する機会があればと思っていましたとお聞きし、通常のカリキュラム指導の中ではそのようなクリエイティブなアイデアをお持ちだとお聞きすることはできなかったと思う。
今回のヒカリエグループ展示をへて、改めて生徒さんと作品について会話をする機会を得れたのは自分にとっても大きな発見であり、新しい気づきをもらえました。
あだちさんの作品しかり、生徒さんの作品の中には「羊の皮」の下に【きらりと光る原石】、いや【化け物】が見え隠れしているかも!?と思われる作品もあったと思います。
生徒さんの『更なる進化』。
その期待を込めて、来年の展示も期待したい。
展示ディレクター 池袋校講師 肥沼義幸
次はふじわかです。
今年の展示は毎年出品していたタグボート展ではなく、渋谷ヒカリエにて初の展示となりました。初めての会場で心配もありましたが、会期も2日間から1週間になり、時間をかけて描いた皆さんの作品を長く落ち着いた空間で展示ができ、たくさんの方の目にも触れ、とても良い展示になったと思っています。
そして今年のテーマである「幸福論」は、作品と一緒に手紙を書いてもらいました。
「手紙は何を書いたら良いんだろう」と悩んでいた方もいましたが、
作品を観て。。。
手紙を読んで。。。
また作品を観る。。。
手紙を読んだあとに作品をあらためて観ると描いた人の気持ちがより深く伝わってくる感じがしました。
最近では、手紙よりもメールやsnsなどを利用してしまっていますが、やはり自筆の手紙だと書いた人の顔が浮かんでくるような、そんな気がしました。
そして目黒校、池袋校ともに、犬・猫の作品が多かったなという印象です。
あの毛皮たちが、もたらしてくれる優しさだったり、癒しだったり、温かさだったり。。。自分もしかりですが、体は小さいけれど彼らの存在の大きさを、多くの方が感じているのだなと思いました。
「幸福論」というひとつのテーマから、ひとりひとり色々な幸せの見つけ方がありました。絵を通して考えて、改めて自分や周りを見直してみる。そしてまた新しい幸せを見つけてもらえたら、なによりも嬉しいことだと思っています。
展示ディレクター 藤本若菜(ふじわか)






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