【“現場”を生きる ・アート社会学】第3回 講師:栗林 隆「現代アート最前線:栗林隆が語る「境界」をめぐる表現」

  

(表紙画像)



ルカノーズ横浜校/LUKA NOSE CONTEMPORARY のオープニング記念企画「“現場”を生きる ・アート社会学」

作家、批評家、研究者など、さまざまな立場からアートに関わってきた人々の悩み、迷い、ときに遠回りをしながらも、試行錯誤の末に現在のスタイルを築いてきました方々の、“現場の声”に耳を傾け、アートと社会の関係を問い直します。

今回の講座では、ドイツ、インドネシアなど世界各地で制作・発表を続ける現代アーティスト・栗林隆先生をお迎えし、スペシャルレクチャーを開催します。

これからアートの道を歩みたい方、美大生、現役作家、アート好きの社会人の方まで、どなたにも刺激的な内容となること間違いなしの一夜です。

レクチャー後は歓談タイム。ワイン片手に、直接お話を聞ける貴重な機会です。

「アートを仕事にしたいけれど、現実は?」「作品を売るってどういうこと?」そんな疑問や悩みにも、きっとヒントが見つかるはずです。


今後の予定リスト

https://lukanose.blogspot.com/2024/12/blog-post_34.html


**********************************************************

―境界を越え、世界をつなぐアーティスト

ペンギンの頭が天井に伸びている? 校長室が凍ってしまった? 原子炉の形をしたサウナに入れる?

まるで非現実的な世界に迷い込んだような、ユニークで不思議な作品を生み出し続ける現代アーティスト、それが栗林 隆(くりばやし たかし)先生です。



「境界」を探求するユニークな視点

栗林先生が一貫して探求されているテーマは「境界」です。

私たちが普段意識している「自然と人間社会」「水と陸」「上と下」といった、あらゆる「見えない線」の関係を、作品を通して問いかけています。

先生の作品は、絵画にとどまらず、実際に体感できる建築的なインスタレーションや映像など、多様な形で展開されるのが特徴です。観客は、その空間に足を踏み入れることで、自分が無意識に持っていた「境界」を“体験”として意識させられます。


作品① 1997 / Universität Kassel Ⓒ Takashi Kuribayashi

武蔵野美術大学で日本画を学ばれた後、ドイツのデュッセルドルフ美術アカデミーで学びを深められました。そのとき、東西に分断された社会構造を目の当たりにし、「境界」という概念が作品の核となります。

コンクリートの家に樫の木を植えた初期作(作品①)には、人工的な枠組みを突き破って生きようとする自然の強い力が象徴的に表現されています。


水と陸、そして空間を越える“越境者”

栗林先生の作品には、ペンギンやアザラシがモチーフとしてしばしば登場します。彼らは、水と陸の境界を自由に行き来する「越境者」であり、先生にとって非常に重要な象徴です。


Out of the Blue / 2003 / ⒸTokyo Wondersite / photo: Ryoji Watabe


ザンプランド / 2008年 Ⓒ十和田市現代美術館

  • 《Out of the Blue》(2003年): ペンギンの頭部が、展示室の床と天井という「上下の境界」を貫いて伸びています。この作品は、観客を越境者として空間に引き込みます。

  • 《ザンプランド》(十和田市現代美術館 恒久展示): 観客がアザラシの視点を体験できる作品です。この作品を通して、私たち自身が、普段いる場所とは異なる視点から世界を見る、新しい越境者となることを促しています。


ドクメンタ15では、福島の原子力発電、そして人間が持つネガティブなイメージやエネルギーをアートというものを通し反転させたイメージを作り出す《元気炉》の制作指揮を行われました。



負のエネルギーを反転させる《元気炉》

2022年の国際的な現代アートの祭典「ドクメンタ15」では、福島の原子力発電所をモチーフにした《元気炉》を発表し、大きな話題を呼びました。

《元気炉》は、原子炉を連想させる形の構造物の中に、薬草の香りを帯びた蒸気が充満した空間を体験できるインスタレーションです。人間が持つネガティブなイメージやエネルギーを、アートを通して心地よい体験へと「反転」させるという力強い試みを行いました。




栗林先生は、アートと人間の生き方の間にある「見えない線」を軽やかに越えながら、私たちの世界の固定観念や成り立ちを、静かに、そして力強く問いかけ続けています。





栗林隆 現代アーティスト

1968年、長崎県生まれ。東西統合から間もない1993年よりドイツに滞在した頃より「境界」をテーマにドローイング、インスタレーション、映像など多様なメディアを使いながら作品を発表。現在は日本とインドネシアを往復しながら国際的に活動し、さまざまな展覧会に招聘されているアーティスト。


🗓 開催概要

日時: 11月9日(土)18:00~20:30

(予定:レクチャー約90分+質疑応答&歓談)

場所: ルカノーズ横浜校

参加費: 6,600円(税込)
(ワイン・ソフトドリンク付)

※ルカノーズ会員:チケット1枚+差額(差額は翌月の月謝に反映されます。例:月2回コース…2200円、月3回コース…3000円、月4回コース…3300円) 

定員: 15名(要予約)


🎟 ご予約

・一般参加:お申し込みは、オンラインショップでチケットをご購入ください。


・ルカノーズ会員:通常のレッスン予約画面からご予約いただけます。ご希望の「店舗(校舎)」「日時」をお間違い無いようお申し込みください。

※お申し込み時はチケットを1枚消費し、講座翌月の月謝口座振替にて差額が引き落としされます。


※違う校舎に所属している方もお申し込みいただけます。



****************

■キャンセルについて


会員/一般参加者ともにキャンセルのお受付は開講3日前までです。

それ以降はキャンセル料が発生いたしますのでご注意ください。

↓下記のキャンセルポリシーを必ずご一読いただき、ご了承の上でお申込みください。

https://lukanose.blogspot.com/2022/12/blog-post_66.html

※参加者が開催日の3日前に最少催行人数の5名に満たない場合、開催が延期もしくは、中止になる場合がございます。ご了承下さい。

コメント

人気の投稿